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老健フェニックス

余暇時間の活用〜野菜、花作りを通してのアプローチ〜

[はじめに]
近年の施設ケアにおいて、利用者様の重度化が進み、平成22年5月1日現在当施設では、ショートステイ2床と、入所者様88名のうち2F、3F、4Fと3ユニットに分かれております。利用者様の平均介護度は4.1と非常に高く、排泄、食事、入浴、ホールへの誘導等にかなりの時間を費やしている為、利用者様への余暇時間の提供が出来ていないのが現状です。

[目的]
利用者様の中には、入所される以前に、家庭で野菜作りや、家庭菜園を楽しまれていた方もおられますが、施設生活で楽しみも少なく、漫然と日々を過ごされています。
当施設では重度(寝たきり、準ねたきり)の方が半数以上を占めています。今回、ADLが高く菜園に興味のある少数の利用者様にスポットを当てることにより、QOLの幅が広げられないかと考えました。そこで、施設でプランターと植木鉢を用意して、野菜、花作りを通して利用者様に楽しみ、潤いのある施設生活を送って頂こうと思い取り組んだ詳細を報告します。

[事例紹介]
※2Fユニット対象者として、A様 失語症、他者交流も日中通して少ない状態。
※4Fユニットでは、B様 言語障害等、意思疎通も特に問題ないが、周りに同じレベルの会話力の利用者様が少なく、余暇時間を持て余している状態。
上記のような利用者様が対象となります。

[実施内容]
3月中旬、5F屋上にて職員と利用者様で花と野菜のプランターに種を蒔く作業を行ないました。
各階共有の観察ノートを作成して、日々の水やりを通しての利用者様の行動や表情の変化等を記録していくことにしました。
4月上旬頃、A様、B様より4F,2Fホールにて間近で花、野菜の成長を見守りたいと言う要望や連日の天候不良などもあり、日当たりが良いホールにて観察を続けることになりました。
経過としてA様は、毎日の水やりにとても意欲的になり失語症の為、少なかった他者との関わりが以前に比べると増えたように見受けられました。
B様に関しては、観察当初より非常に意欲的であり野菜についている虫が気になるようで夜間は懐中電灯を持ち出し、葉が虫に食べられてないか心配されているという場面もありました。
また、本人様からの「部屋で花の観察を続けたい」という希望もあり、居室にて花の成長を見守って頂く事になりました。居室に花を置かれてからは、自ら率先して成長記録をメモに残すことが日課となっています。A様、B様に見られた共通点としては、以前より表情が豊かになり職員や他の利用者様との関わりの頻度が拡がり、結果QOLの向上に繋がりました。

[まとめ]
今回の花、野菜作りを通して利用者様の余暇時間の充実を図ってみた結果、他者交流の少なかった利用者様が自発的に職員や他の利用者様と交流を図れたという良い変化が見られました。
しかし、一部の利用者様のみを対象とした為に他の利用者様のQOL向上に繋げるところまでは進められませんでした。
今回の研修チームのみでは、出来る範囲が限られてくるので、今後は施設全体で取り組んでいける環境を構築していく必要があると感じました。
施設では、ホームページを開設していますので、随時今回の取り組みを継続して発表していけたらいいと思います。