下肢静脈瘤外来
はじめに
たまき青空病院は、徳島市国府町で下肢静脈瘤の患者さんの弾性ストッキング圧迫療法・血管内治療・硬化療法・手術を行っております。藍住町のたまき青空クリニックでも診断を行っておりますので、静脈瘤でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
下肢静脈瘤とは?
下肢の静脈には、重力で下肢に血液がうっ滞しないように、逆流防止弁がついています。
この逆流防止弁が壊れた状態が下肢静脈瘤です(図1)。基本的に良性の病気ですが、種々の症状改善目的に手術が必要になる事があります。
(図1)下肢表在静脈の逆流防止弁
静脈瘤の症状
下肢静脈瘤とは足の静脈が拡張し表面に浮き出てボコボコとしたコブがたくさん出来た状態をイメージする方が多いと思います(図2)が、静脈瘤が表面に見えてなくても静脈瘤の症状が出ることがあります。
静脈瘤は見た目に問題があるばかりでなく、下肢の痛み、重い感じ、だるさ、疲れやすい、むくみ、かゆみ、足がつりやすい、皮膚が黒くなる、皮膚が硬くなるなどの症状を引き起こします。ひどい場合は、難治性の皮膚潰瘍ができることもあります。
見た目に問題が無くとも、上記症状がある場合は、検査を受けると逆流が明らかになる場合もあります。
静脈瘤の中にできる血栓が心臓や肺に飛ぶことを心配される方も多いです。静脈にできた血栓は肺にトラップされます。静脈瘤自体が原因で大きな血栓ができて、肺に飛ぶ”肺塞栓症”になる事は「少なくとも非常に稀」であり気にする必要はありません。
しかし、骨の近くの大きな静脈に血栓ができる、深部静脈血栓症を併発すると、肺塞栓症のリスクが高くなります。
下肢静脈瘤がその深部静脈血栓症を発症する原因となり得るのかについては未だに専門家の間でも意見が分かれている状況です。当院では必ず、静脈瘤の検査時に深部静脈血栓症の有無も確認するようにしております。血栓について気になる方は、詳しくは外来でお尋ね頂ければ現在の見解を説明いたします。
いわゆる血管腫(血管奇形、脈管奇形)のなかには、静脈瘤に類似した症状を呈することがあります。下肢の肥大、腫大、下肢長差、赤あざ(ポートワイン斑)を呈するクリッペル・トレノネー症候群は先天性静脈瘤を呈することがあり、弾性着衣や硬化療法を用いた臨床研究や臨床治験が開始されております。
(図2)典型的な下肢静脈瘤
静脈瘤の診断に必要な検査
身体所見が重要ですが、見た目ではわからないこともあります。
静脈を超音波で観察することにより、確定診断をつけます。
鑑別が必要な疾患としては、リンパ性浮腫、深部静脈血栓症、心不全等があります。
静脈瘤の治療
1)圧迫療法
軽症の方は、弾性ストッキング(図3)という圧迫用ストッキングを着用することで静脈瘤の症状が軽快します。
下肢のサイズを測定して自分に合ったサイズのストッキングを使用致します。
これまでの市販の弾性ストッキングは症状改善には有効ですが、静脈瘤自体を治すものではありません。効果があるのは着用している間だけですし、着用の不快感、圧迫による痛み等で着用し続けることが困難な事もあります。
当院では、患者さまひとりひとりのサイズ、症状に合わせたカスタムメイドの弾性ストッキングを作成しており、素地選択、タイプ選別が個々人に合わせて作成可能となります。
(図3)弾性ストッキング
2)硬化療法
血管内に大きな血管には逆流がほとんどなく、小さな血管の拡張が主体の静脈瘤には硬化療法が行われます。
硬化療法はお薬を血管内に注入し、血管内を癒着させて潰してしまう方法です。外来で簡単にできますが、静脈逆流を根本的には治せないことが多く、静脈瘤が再発しやすいのが欠点です。また、皮膚が硬くなったり、色素沈着を起こしたり、炎症による副作用が出る事もあります。
硬化療法は手術やレーザー治療で逆流を治療した後に残っている静脈瘤や網目状、クモの巣状静脈瘤には大変有効です。
3)手術
A) 下肢静脈瘤ストリッピング手術
静脈瘤を治す最も標準的な手術治療です。局所麻酔+静脈麻酔で行う事が多いですが、時には腰椎麻酔や全身麻酔が必要になります。
逆流が発生して、静脈瘤を引き起こす主な静脈は大伏在静脈と小伏在静脈という静脈です。
これらの静脈を、ワイヤーで抜去する手術です(図4)。大伏在静脈や小伏在静脈は基本的に無くても困らない静脈です。本手術の治療効果は高く、大部分の静脈瘤は消失致しますし、大部分の患者様の症状は大きく改善します。
術後静脈瘤が残存する場合は、硬化療法や、大伏在静脈・小伏在静脈以外に逆流のある静脈の結紮切断術を追加で行う事になります。術後に残存静脈瘤があるからと言って、必ず治療が必要というわけではなく、症状が無ければ追加治療を行わない事も多いです。
局所麻酔+静脈麻酔の場合は、日帰り手術も可能ですが、当院では1泊2日での治療を基本としてます。
(図4)ストリッピング手術
逆流する表在の静脈を中枢で結紮(+切断)する方法です。局所麻酔で日帰り手術が可能な方法ですが、再発率が高く、適応症例を慎重に検討する必要があります。高位結紮術のみで治療する症例はあまり多くありません。
C)血管内治療
最近導入が進んでいるのが、逆流のある表在静脈(大伏在静脈等)を血管内から焼いて逆流を止める血管内治療です。2011年より、日本でも保険導入されました。
血管を焼く(焼灼する)方法には、高周波焼灼とレーザー焼灼があります。当院では高周波焼灼による血管内治療を行う事が可能です。2つの方法で、効果に大きな違いは無いと言われています。
手術は局所麻酔で行い、手術方法は2つの焼灼方法で同様の手技となります。局所麻酔後、足の静脈を穿刺して、血管焼灼用の細いファイバーを入れて高周波焼灼もしくはレーザー焼灼を行います(図5、図6)。
従来のストリッピング手術に比べて痛みや皮下出血等の体への負担が少なく、かつ従来の手術と同等の効果を報告されています。当院では日帰り手術を基本方針としております。
解剖学的に血管内治療ができない静脈瘤もあり、その場合は従来のストリッピング治療を行う事になります。
術後焼灼部分の皮膚の痛みや引き攣れが合併症としてありますが、最近は機器の発達によりそれは問題になる事もかなり減少してきております。
当院では、血管内治療・ストリッピング手術ともに行う事が可能です。心臓血管外科をまずは受診し、相談していただければと思います。
(図5)高周波焼灼カテーテルと焼灼装置
(図6)静脈瘤の血管内治療
※画像提供:日本コヴィディエン株式会社
INFOMATION
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担当医師
藤井 泰宏(ふじい やすひろ)
秋田 定伯(あきた さだのり)