外来

脂肪肝(MASH)外来 ― ウゴービによる保険治療

脂肪肝(MASH)外来のご紹介

健診や人間ドックで「脂肪肝」や肝機能(AST・ALT・γ-GTP)の数値異常を指摘された方へ。お酒をあまり飲まない方でも、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧などの代謝の異常があると肝臓に脂肪がたまり、一部は炎症と線維化(肝臓の傷)へと進行します。自覚症状がほとんどないまま進むのが特徴で、放置すると肝硬変や肝がんにつながることがあります。

2026年6月、脂肪肝のうち炎症と線維化を伴うMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)に対する治療薬として、セマグルチド(商品名:ウゴービ)が国内で承認され、保険適用となりました(MASHの効能・効果で承認された医薬品としては国内で初めてです)。徳島市のたまき青空病院は、糖尿病・内分泌代謝の専門外来と消化器内科を備え、代謝の背景から肝臓の状態まで一体的に評価・管理できる体制で、MASHの保険診療に取り組んでいます。

  • 本ページは、肝臓の病気(MASH)の評価・治療に関する医療情報です。痩身・美容・ダイエットを目的としたご案内ではありません。

MASH(マッシュ)とは ― MASLDとの違い

飲酒が主な原因ではなく、肥満・糖尿病などの代謝の異常を背景に肝臓へ脂肪がたまる状態を、近年はMASLD(マッスルド/代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼びます。以前の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」を、原因(代謝異常)が分かる名前に付け替えたものです。

MASLDのうち、脂肪がたまっているだけで炎症の軽いものを単純性脂肪肝、脂肪に加えて肝臓の細胞に炎症と傷(風船様変性)が起きている状態MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼びます。MASHは肝臓が硬くなる「線維化」が進みやすく、放置すると肝硬変・肝がんに至ることがあります。今回保険適用となったウゴービは、このMASHのうち線維化が中等度以上に進んだ方が対象です。

MASHは、肥満・2型糖尿病・インスリン抵抗性と深く関わる「肝臓の生活習慣病」ともいえます。「お酒を飲まないから大丈夫」ではなく、健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘された方、特に肥満・糖尿病のある方は注意が必要です。

放置するとどうなるか

MASHは自覚症状が乏しいまま線維化(肝臓の傷)が進むことがあり、進行すると肝硬変・肝がんのリスクが高まります。また、MASH・MASLDは肝臓だけの問題ではなく、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患とも関わることが分かっています。だからこそ、症状が出る前に「血液検査と腹部エコー」で肝臓の状態を把握することが大切です。

一方で、早い段階で評価できれば、生活習慣の改善や治療によって管理していける方も多くいます。過度にご心配なさらず、まずは肝臓の状態を知ることが第一歩です。

ウゴービによる治療の対象になる方

ウゴービ(セマグルチド)のMASHに対する保険適用は、対象が明確に定められています。承認された効能・効果は「肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)で、中等度または高度の線維化を有する場合」です。

肝臓の線維化はF0〜F4の5段階で評価され、この治療の対象は中くらい〜やや進んだF2・F3の方です。

  • 脂肪はあるが線維化のない(またはごく軽いF0・F1の)単純性脂肪肝の方は、この薬の対象ではありません。

  • すでに肝硬変(F4)に進んでいる方も、この薬の対象ではありません。

  • 必ず検査で線維化の程度を評価し、医師が適応を判断します。「脂肪肝がある=誰でもウゴービで治療できる」わけではありません。

また、体格(BMI)の目安として原則BMI 23.0kg/m²以上の方が対象で、著しくやせている方(BMI 19.0未満)には使用しません。治療中も食事療法・運動療法を続け、2か月に1回以上の栄養指導を受けていただくことが、治療を続ける条件となります。

  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方、1型糖尿病の方、本剤に過敏症のある方などは使用できません。実際に治療の対象となるかどうかは、診察と検査に基づいて医師が判断します。

当院での検査の流れ

MASHの評価は、体への負担が少ない血液検査と腹部超音波(エコー)を中心に、段階的に行います。学会のガイドライン(MASLD診療ガイドライン2026・最適使用推進ガイドライン)に沿って、消化器・肝臓と代謝の専門医が総合的に線維化の程度を判断します。

STEP1 リスクの確認

健診での脂肪肝・肝機能異常(AST・ALT・γ-GTP)に加え、肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症などの代謝の危険因子を確認します。

STEP2 血液検査

FIB-4 index(年齢・AST・ALT・血小板から計算する線維化の指標)や、血清の肝線維化マーカーなどを測定し、線維化の可能性を評価します。

STEP3 腹部超音波(エコー)

腹部エコー(腹部超音波)で、脂肪肝の程度や肝臓の形態、硬さ(肝硬度)の所見を確認します。血液検査・臨床所見と合わせて、専門医が治療の対象となる中等度以上の線維化(F2・F3)かどうか、肝硬変ではないかを総合的に判断します。

肝臓の状態を最も正確に調べる検査は肝生検(肝臓の組織を採る検査)ですが、出血などのリスクや禁忌があり体への負担も大きいため、当院ではまず体にやさしい検査(非侵襲検査)を中心に評価します。必要に応じて、より詳しい検査を検討します。

ウゴービによる治療について

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、食欲やインスリンのはたらきに関わるGLP-1というホルモンと同じように作用する注射薬です。週1回の皮下注射で、少量(0.25mg)から始め、4週間ごとに0.5mg→1.0mg→1.7mg→2.4mgと段階的に増やしていきます。少しずつ慣らすことで、吐き気などの症状を抑えます。

臨床試験での結果

MASHの患者さんを対象とした国際的な第3相臨床試験(ESSENCE試験)では、72週間の治療で次の結果が報告されています。

  • MASHが消失した方:ウゴービ群 62.9%(プラセボ群 34.3%)

  • 肝臓の線維化が改善した方:ウゴービ群 36.8%(プラセボ群 22.4%)

  • これは臨床試験(第3相ESSENCE試験)の結果であり、効果には個人差があります。すべての方に同じ効果を保証するものではありません。

主な副作用

主な副作用は、吐き気・下痢・便秘・嘔吐などの胃腸の症状です。多くは軽度〜中等度で、増量した時期に出やすく、少量から始めることで軽減できます。まれに急性膵炎や胆石症などが起こることがあります。気になる症状があれば、すぐにご相談ください。

治療の続け方・見直し

治療の効果は、体重や血液検査、腹部エコーなどで定期的に確認します。一定期間治療しても改善が見られない場合や、肝臓の状態が悪化した場合には、治療の中止を検討します。治療中も食事・運動療法と栄養指導を続けていただきます。

費用・保険について

当院のMASHに対するウゴービ治療は保険診療(保険適用)です。美容・痩身を目的とした自由診療(自費)とは制度が異なります。お支払いいただく自己負担額は、保険の負担割合や処方日数などによって変わるため、診察時に個別にご説明します。治療には、食事・運動療法と定期的な栄養指導の継続が必要です。

受診の流れ

問診・診察 → 血液検査・腹部エコー → 線維化の評価・適応の判断 →(対象となる場合)治療開始・栄養指導、という流れで進みます。健診で脂肪肝や肝機能異常を指摘された方、かかりつけの先生からのご紹介も歓迎します。徳島市・板野郡エリアの方を中心に、脂肪肝・MASHの保険診療に対応しています。ご予約・ご相談は、お電話またはWebから承ります。

担当医師

よくある質問

Q. お酒を飲まないのに脂肪肝と言われました。治療が必要ですか?

MASLD/MASHは飲酒が主な原因ではなく、肥満や糖尿病などの代謝の異常が背景にあります。多くは経過観察と生活改善が中心ですが、線維化が中等度以上に進んでいる場合(MASH)は治療の対象になることがあります。まずは血液検査・腹部エコーで肝臓の状態を確認しましょう。

Q. 脂肪肝があれば、誰でもウゴービで治療できますか?

いいえ。ウゴービの保険適用は「肝硬変を伴わない、中等度以上の線維化(F2・F3)を有するMASH」に限られます。単純性脂肪肝や軽度の線維化、肝硬変の方は対象外です。検査で線維化を評価したうえで、医師が判断します。

Q. 肝生検(肝臓の組織検査)は必要ですか?

当院では、体への負担が少ない血液検査と腹部エコーを中心に評価します。肝生検はリスクや禁忌があるため、必要と判断される場合に検討します。

Q. 保険は使えますか?費用はどのくらいですか?

MASHに対するウゴービ治療は保険診療です。自己負担額は保険の割合や処方日数などで変わるため、診察時にご説明します。

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ご注意

  • 本ページは脂肪肝・MASHに関する一般的な医療情報であり、個別の診断・治療効果を保証するものではありません。治療の適応は、診察と検査に基づき医師が判断します。

  • ウゴービは、痩身・美容・ダイエットのみを目的として使用することはできません。

  • 妊娠中・妊娠の可能性のある方、1型糖尿病の方、本剤に過敏症のある方などは使用できません。効果や副作用には個人差があります。

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この記事の監修

たまき青空病院 副院長・副理事長 田蒔 基行

日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医

最終監修日:2026年7月

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